piyolog

piyokangoの備忘録です。セキュリティの出来事を中心にまとめています。このサイトはGoogle Analyticsを利用しています。

保守作業中のディスク容量不足で発生したトヨタ国内全工場の稼働停止についてまとめてみた

2023年9月6日、トヨタは国内工場の稼働停止につながった8月28日に発生した生産指示システムの障害について原因を明らかにしました。ここでは関連する情報をまとめます。

部品発注できず丸1日以上工場稼働停止

  • 今回障害が発生したのは生産指示システムと呼ばれる車両部品の発注など管理するシステムで、トヨタと取引先の部品メーカーの間で使用されている。*1 *2 2023年8月28日昼頃にシステムで不具合が生じ、部品調達に支障が生じた影響を受け翌日29日朝より国内12工場25生産ラインの稼働を停止した。さらにこの影響で国内の部品メーカーの工場も稼働停止となった。*3
  • 部品在庫が残っていた宮田工場、ダイハツ工業の京都工場(トヨタ車製造)の計2工場3ラインは29日も稼働を継続していたが、トヨタはその後全工場の稼働停止を決定。*4 また日野自動車も障害が発生したシステムを利用していることから、羽村工場、新田工場の一部生産ラインの稼働を停止した。*5
  • トヨタは障害発生後に代替環境を構築。システムを復旧させ、8月30日午前より12工場25生産ラインの稼働を再開、同日夜までに残り2工場3生産ラインも稼働を再開した。*6 今回のシステム障害による車両生産への影響に関してトヨタは、1日程度の操業停止であれば挽回生産(日々の生産台数増)により年間生産台数への影響はないと説明。*7 なお、国内工場では海外出荷分を含む全生産台数の約3割を占めており、今回の障害により1万4千台の生産に影響が及んだ可能性がある。*8 *9

原因は保守作業による容量不足

  • トヨタはその後再現検証より原因特定や対策が確認できたとして、障害発生前日より行っていたデータ保守作業により生じた不具合であったことを明らかにした。
  • データ保守作業は、生産指示システム上のデータベースに溜まったデータの削除及び整理を行うもので定期的に実施されている。保守作業用に確保していたディスク容量が十分ではなかったことから作業中に容量不足エラーが発生しシステムが停止した。
  • バックアップ環境の用意はあったが、不具合が生じたサーバーと同一のシステムで作動していたことからバックアップ環境への切り替えも不可能となった。
  • トヨタは復旧対応として、大容量のデータ容量を確保したサーバーにデータを移行した代替環境を構築しシステムを復旧。この代替環境によるシステム復旧を受け、生産を停止していた工場も稼働再開となった。
  • トヨタは障害発生当初よりサイバー攻撃起因ではない(可能性は低い)とする広報対応を行っているが、改めて今回の公表においても、この不具合が攻撃によるものではないと否定する見解を示した。
  • 今回の不具合発生を受けて、トヨタは保守作業の手順見直しを行うとしている。
生産指示システム障害発生の概要図

関連タイムライン

日時 出来事
2023年8月27日 システムの定期保守作業を開始。
2023年8月28日 保守作業によりディスク容量不足が発生。複数のサーバーに影響が及びシステム停止。
2023年8月29日 システム停止による影響で、国内工場の稼働を停止。
トヨタは代替環境を構築し、データ移行後にシステムを再開。
2023年8月30日夜まで 全工場の稼働再開。

更新履歴

  • 2023年9月7日 PM 新規作成