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データ入力不備で全国展開が先送りされたマイナンバーカードの保険証利用についてまとめてみた

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるとして2021年3月4日より先行して運用が開始されましたが、その後医療機関にて本人確認ができないといったトラブルが発生しました。データ入力不備等の問題が生じたためで厚生労働省は3月下旬より全国で運用開始予定だった保険証利用を最長今年10月からとする方針に変更しました。ここでは関連する情報をまとめます。

マイナンバーカードの健康保険証利用とは

myna.go.jp

  • 健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるもの。
  • 事前にポータルサイト等へ登録が必要で、3月21日時点で約311万人(発行枚数の9%相当)が登録済み。
  • 2021年3月4日から試験運用が開始され、25日までに24の都府県、54の診療所、薬局等一部の医療機関で利用可能となっていた。*1
  • 2020年10月以降に健康保険組合、共済組合等に対し被保険者のデータを新システムへ登録するよう要求が行われていた。

先行運用で本人確認ができないトラブル相次ぐ

先行運用中の医療機関で次の問題が相次ぎ確認され、本人確認が行えないトラブルが発生した。

  • 保険資格情報が登録されていないといったエラー表示された。
  • 健康保険証に記載された情報が一致せず、患者情報が確認ができなかった。
誤って把握したマイナンバーでデータ登録取り違え
  • 2021年2月時点で約3万件のマイナンバーの取り違えが確認された。健康保険組合の修正作業等で3月22日に4000件、同24日に残り50件まで修正。*2 ほぼ解消されたが今後も手順ミスで誤って入力される可能性は残ったままとなっている。
  • 取り違えは健康保険組合が社員、家族のマイナンバーを誤って把握していたことが原因の1つとされる。誤って把握していた背景は不明で対象数は数千件。*3
  • この他に、データ形式の違いによるとみられる被保険者番号が正確に表示されない事例が約3000件。海外在住や被保険者が組合に知らせていない等を理由にマイナンバー提出を健康保険組合等が行っていない事例が約175万件。保険証の情報が登録されていない事例が約6万3千件。*4 *5 *6

ポータルの健康情報表示にも影響

マイナポータルで健康情報の表示を行う機能があるが、今回のトラブルを受け他人の情報が表示されるリスクがあることが報じられた。*7

  • 表示される健康情報は薬処方歴、メタボ検診(特定検診)結果、慢性腎不全やHIV感染等の医療費自己負担軽減措置を受けている疾患名。
  • 登録されたマイナンバーが誤っていた場合、医療機関の端末の他、マイナポータル上でも他人の健康情報が表示される恐れがある。

最長7か月の全国導入先送り

  • 問題発生を受け、マイナンバーカードを健康保険証として利用する全国での運用を2021年3月末運用開始を予定していたが、遅くとも2021年10月とする方針となった。*8
  • 厚労省はトラブルを受け、マイナポータルでの健康情報表示も最長2021年10月まで先送りとした。2021年6月までにシステム改修(誤入力の自動検出機能追加)を行う方針。展開も検証をしつつ順次利用可能な医療機関を増やす予定。*9

更新履歴

  • 2021年3月29日 AM 新規作成