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日本オリンピック委員会のランサムウエア感染事案についてまとめてみた

2021年6月25日、日本オリンピック委員会(JOC)が昨年4月下旬にサイバー攻撃による被害を受けていたと報じられました。ここでは関連する情報をまとめます。

1年前のランサムウエア感染

  • 2020年4月下旬、JOCがランサムウエアによりデータが一部暗号化される被害を受け、事務局内のサーバー、PCに一時アクセスできない状況が発生していたと報じられた。*1
  • JOCはこの影響により業務停止は部分的に発生したが、定常業務全体が停止する事態は起きていないとしている。*2
  • JOC事務局がランサムウエアに感染した原因や経緯は不明。またランサムウエアの種類名は報じられていない。
  • 今回の事案では犯行声明や身代金要求が行われていないが、専門家の調査結果よりランサムウエアに感染したとJOCは判断している。
  • 被害に遭ったサーバーには日本国内の競技団体強化選手に関する個人情報等が保管されていたが流出は確認されていない。

公表を見送った理由

  • JOCは今回の事案発生を受け2020年5月にスポーツ庁に報告を行っているが、警察、関連する競技団体や公表を見送っている。*3
  • JOCがこの対応をとった理由に常務理事は取材に対してルールにのっとり対応したと説明。情報流出の事実が確認されてなかったためとし、漏えいがあれば知らせることは必要との見解を示している。また公表によりJOCのサーバーが脆弱と思われる可能性もあったとしている。*4 *5
  • 専門家の調査結果に流出形跡なしとあり、JOCはこの結果を元に判断を行っている。

全台入れ替え復旧

  • 被害に遭ったのはJOC事務局内に設置されたサーバー、パソコンに設置された約60台。(局内台数は約100台で7割程度が被害を受けた模様)
  • JOCは感染した全台を1か月かけ全て新規に入れ替えを行っている。この対応に要した費用は約3,000万円。
  • 全台入れ替えはJOC側の早期業務復旧を受けた業者側の提案によるもの。

更新履歴

  • 2021年6月30日 PM 新規作成