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国際宇宙ステーションで発生した不正アクセス疑惑についてまとめてみた

2019年8月25日、米NASAの宇宙飛行士がISSミッション中に不正アクセスを行った疑いがあるとNYTなどが報じています。*1 *2 *3 ここでは関連する情報をまとめます。

ISS滞在中に妻銀行口座へのアクセス

  • 米NASA宇宙飛行士が妻の銀行口座にアクセスしていた。
  • 銀行口座へのアクセスは宇宙飛行士も認めている。
  • アクセスを行ったのはISSミッション中で、宇宙飛行士は2018年12月3日~19年6月24日の半年間滞在していた。
  • 銀行のオンラインサービスのパスワードは変更されておらず、また妻からアクセスを禁止するとの話もなかった。
  • 妻の口座から資金の移動、利用は行われていなかった。
  • NASAは個人的な問題なのでコメントは控えると声明を出している。

妻側の動き

  • 妻はカンザス出身の元米空軍諜報員。国家安全保障局で勤務していた。
  • スレットインテリジェンス、サイバーセキュリティのサービス会社も立ち上げていた模様。*4
  • 妻は銀行口座へのログイン履歴から自分の知らない不審な履歴を確認。
  • 銀行側へ問い合わせを行い、NASA経由でログインされたことを把握。
  • 妻は宇宙飛行士の行為を非難するため連邦取引委員会へ苦情を申し立て。
  • 妻側の家族も宇宙飛行士の地球帰還数時前にNASA監察官室宛に手紙を送付。

出来事の背景

  • 宇宙飛行士と妻は2018年末から(激しい)離婚調停中で、妻の連れ子の親権、居住地が争点となっていた。
  • 妻とは2014年末に結婚したが、3年後から関係が悪化したという。
  • 子供は結婚より1年前に誕生。宇宙飛行士は結婚後に養子縁組を希望したが拒否されていた。
  • 宇宙飛行士は行った行為が不正アクセスであることは否定している。
  • 子供の養育(薬との報道もある)費用が十分かを確認するためで、日常的に行っているものだったと話している。
  • 離婚調停にまつわる論争はミッション中、宇宙上でも行われており、2019年10月に離婚予定と確定していた。

宇宙空間で最初の犯罪?

  • 報道によればISS上で犯罪を犯した場合の取り決めが存在する。
  • 日本、米国、欧州等では被疑者の出身国の司法に基づいて対応される模様。*5
  • 宇宙飛行士の行為が不正アクセスと認められた場合、ISS上で認知された罪としては初めて。

虚偽申告と報道

  • 2020年4月9日までにこの不正アクセスの告発が虚偽申告であったと報じられた。*6
  • NASA等が行った調査によれば、銀行口座には2019年1月ISSから共有パスワードを使ってアクセスしていた。
  • 妻側の主張によれば焦点となる開設日付を誤って伝えていたが、後にこれを訂正したという。*7

更新履歴

  • 2019年8月26日 AM 新規作成
  • 2019年8月26日 PM 誤解を招きそうな表現を修正
  • 2020年4月12日 AM 不正アクセスが虚偽申告との報道を反映