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米国によるイランへのサイバー攻撃報道についてまとめてみた

2019年6月22日以降、複数の米メディアは米軍よりイランへサイバー攻撃が開始されたと報じまています。ここでは関連する情報をまとめます。

イランへのサイバー攻撃

IRGC、及び民兵組織KHに対して攻撃が行われたと報じられている。また米大統領は6月24日時点で関連するコメントをしていない。

IRGCへの攻撃

IRGC(イスラム革命防衛隊)

  • 数週間前から準備され、2019年6月20日夜に開始された。
  • 目的はIRGCの兵器システムの無効化。
  • タンカー攻撃事案起きたことで米国防総省が報復手段として提案。
  • どのような方法が取られたのか、サイバー攻撃の詳細は不明。
  • 米大統領が米サイバー軍司令部に対し、サイバー攻撃による作戦を承認。
KHへの攻撃

KH(カタイブ・ヒズボラ/Kata'ib Hezbollah)

  • KHへのサイバー攻撃はCNNが報道
  • 攻撃目標はKHのネットワークシステムに対して。
  • KHがCNNが23日に報じた「IRGCとつながりを持つスパイ組織」だったのかは不明。
  • 「IRGCとつながりを持つスパイ組織」はタンカー追尾に用いられていたソフトウェアが標的となった。

経緯、米国とイランの衝突

日時 出来事
タンカーへの攻撃数時間前 イランが米無人偵察機へ地対空ミサイルを発射。(報道による)
2019年6月13日 何者かによるオマーン沖のケミカルタンカー2隻への攻撃発生。
同日 米軍が証拠として水雷取り外しの映像を公開しイランによる攻撃と主張
2019年6月17日 米国が中東へ米軍1000人を増派する方針を発表。
2019年6月18日 米大統領がイランへ周到な準備を整えていると取材に回答
2019年6月19日 イランの攻撃により米無人偵察機撃墜。*1
2019年6月20日4時頃 イランが米無人偵察機を領空侵犯により撃墜*2したと発表。
同日 米報道官が無人機のイラン領空内での活動事実はないと否定。
2019年6月21日未明 米大統領が報復措置(イランへの軍事攻撃)を承認。直後撤回。
2019年6月22日 イランが改めて米無人偵察機が領空侵犯をしていたと発表。
同日 米政府が国内企業に対し、イランによるサイバー攻撃の危険性が高まったと警告。
同日 Yahoo!Newsがイランへのサイバー攻撃が開始されたと報道。
2019年6月23日 米複数メディアがイランへのサイバー攻撃を報道。
2019年6月24日 米大統領がイランへの追加制裁を科すと取材に回答。
同日 米大統領がイラン最高指導者やIRGC幹部を対象とした経済制裁発令。

不釣り合いな軍事攻撃の撤回

  • 21日未明の軍事攻撃は承認から10分後に撤回された。
  • イランによる偵察機への攻撃では米側の人的な犠牲は出ていなかった。
  • 米大統領の軍担当者への問に対し、3カ所への攻撃で死傷者数が150名程度出る可能性があると説明。
  • 無人偵察機撃墜の報復措置として軍事攻撃は不釣り合いと米大統領が判断。


サイバー攻撃の成否

  • サイバー攻撃による検証可能な影響の発生は判明していない。
  • 一部メディアではミサイル発射装置など一部制御システムが機能不能となったと報じられている。
  • 今回のサイバー攻撃による死傷者は確認されていない
  • イラン側は米国の名指しの表現は避けたが攻撃は失敗したとの見解。

サイバー攻撃について2国のコメントは以下。

アメリカ 方針、機密保持のために、サイバー関連の作戦、諜報活動、計画は明らかにしないと国防総省報道官がコメント。
イラン 成功したサイバー攻撃はないと情報相がTwitterへ投稿。

更新履歴

  • 2019年6月24日 PM 新規作成
  • 2019年6月26日 AM KHへのサイバー攻撃報道を追加

*1:イランによれば撃墜されたのは米空軍「RQ-4A グローバルホーク」と発表、実際には「BAMS-D」に分類されるものだったという話もある

*2:地対空ミサイル「Khordad3」によるものと報道