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南房総市立小中学校の校務ネットワークへの不正アクセスについてまとめてみた

2022年7月19日、千葉県南房総市は市内の小中学校が利用している校務ネットワークがランサムウエアを使用したサイバー攻撃を受けたことを公表しました。ここでは関連する情報をまとめます。

校務ネットワークでランサムウエア被害

  • 市内の小中学校が利用する校務ネットワーク*1が不正アクセスを受け、ネットワーク上のサーバーに対して、ランサムウエアを使用したサイバー攻撃を受け、暗号化されたデータが使用できない状態となった。
  • 7月17日3時30分にサーバー監視の委託先事業者がサーバーとの疎通ができないことを確認、南房総市と事業者で調査を行ったところ、ランサムウエアによる攻撃を受けたことが判明した。英文の連絡を求める脅迫メッセージがサーバー内に残っていたとされるが、攻撃に用いられたランサムウエアの種類は公表されていない。
  • 被害に遭ったサーバーは複数で、市内全ての小中学校(6つの小学校、6つの中学校)の教育活動の記録等学校業務全般に使用されていた。サーバーには教職員の人事、健康診断、支払先口座情報や児童1,293人、生徒724人の個人情報(氏名、住所、保護者連絡先、成績、出席情報等)が含まれていた。*2 *3
  • 教職員等がネットワーク接続の際利用する認証サーバーも被害に遭ったことから、校務ネットワークへの接続が行えない状況となっている。*4

終業式直前の発生で学校現場に影響

7月19日公表時点における当該事案の状況は次の通り。

  • 南房総市は外部との通信を遮断し、千葉県警への被害相談を行った。また外部への情報流出の事実は確認されていないと説明。侵入経路は調査中で判明次第システムの見直しを進める。
  • 暗号化されたデータの復旧の見通しは立っていない状態。7月20日は市内12の小中学校全てで終業式だったこともあり、一部の学校(少なくとも20日に配布予定だった中学校1校)において通知表や学校からのお便りの配布が出来なくなった。*5 *6 また通知表の印刷が出来なかった学校(配布不可だったと報じられた学校と同じかは不明)は既に印刷済みだった通知表に手書きで加筆する対応を行った。*7 市は学校業務復旧のために応急的な対応(小中学校での入力用代替端末の手配等)を行う方針。

公式発表・関連情報

更新履歴

  • 2022年7月21日 AM 新規作成
  • 2022年7月22日 AM 被害の状況追記

*1:2016年の南房総市の端末リプレースに関する記事では校務用、教務用の2つのネットワークが存在し切り離されて運用が行われていた。その当時の校務用ネットワークへの接続には特定のソフトウエアが動作する端末に認証キーとなるUSBメモリを指す必要があったとの言及がある。現在も同様かは不明。

*2:南房総市がランサムウエア被害、全小中学校の児童・生徒データなど閲覧できず,日経クロステック,2022年7月20日

*3:千葉県南房総市 小中学生の個人情報 不正アクセスで暗号化被害,チバテレ+,2022年7月19日

*4:市内小中12校が利用する校務ネットワークがランサム被害 - 南房総市,Security Next,2022年7月21日

*5:サイバー攻撃で小中学校で通知表配れず 千葉 南房総,NHK,2022年7月20日

*6:学校サーバー不正アクセス 使用停止、復旧めど立たず 南房総市,千葉日報,2022年7月20日

*7:南房総市の小中学校にサイバー攻撃 通知表の更新できず…対応追われる,日テレNews,2022年7月20日